経済産業省は今年4月からはじまった都市ガスの自由化直前に実施したアンケート結果を21日に公表しました。
アンケート対象になったのは、自宅でガスを使用している全国の20~60代の1200人で、自由化される直前の3月にインターネット経由で実施していました。
この結果により、消費者の心理傾向が明らかになりましたが、同時に自由化の内容を知らない方が87%に上り、消費者への周知を進めるという課題が浮き彫りになりました。
約半数の顧客が10%安で変更したいという結果に
今回の調査で回答した方の48.7%は、今の料金から「0~10%」安くなれば変更したいと回答しています。
そもそも今回の自由化で会社の切り替えを行ったとしても、大本の導管自体の所有者が変わるわけではありません。切り替え先の会社がその導管を借り受けるという形になるため、レンタル料金が発生することになります。
例えば東京ガスのユーザー宅がニチガスへの切り替えを行った場合、ニチガスは東京ガスが整備した地下の導管を根こそぎ奪えるということではなく、東京ガスから借り受けることになります。ニチガスから東京ガスへ導管を借り受ける料金が毎月発生することになります。
更にガスの切り替えでは、契約後の保安管理も切り替え先の会社が行うことになるため、企業としては保安のコストも視野に入れた料金提示を行う必要があります。
従って顧客に供給する際の料金を、従来の料金から極端に下げることは実質的に不可能な状態なのですが、10%程度の割引ということであれば現実的に目指すことが可能な範囲となるでしょう。
例えば月々5,000円の請求額のお宅が4,500円になるということですので、現行のプランでも十分に実現が可能です。加えて各社スイッチングキャンペーンなどの名目で、初回のみ無条件で2,000円割引などの施策を行っていますので、顧客としては乗り換えるメリットは十分にあると考える方が多いと推測することができます。
調査結果を踏まえると、「そもそも自由化されることを知らない」方や、「どれくらい安くなるのかを知らない」お宅が多いのではないかと考えられます。
ガス会社の課題として今後「顧客にとって魅力的なサービスを展開する」と同時に「どのようにして顧客にサービス内容を知ってもらうか」ということがテーマとなります。
安くなっても変更しない方が25%
調査では一方で「料金が安くなっても変更しない」という方が24.5%もいたことが明らかになっています。約4人に1人がこのように答えていることになります。
安くなるのはわかったけど変更はしないと言われてしまったら、ガス会社としてもお手上げ状態かもしれません。
このような方は、「料金以外の基準」でガス会社を選ぶということなのでしょう。もしくは「切り替えるのが面倒」という方がいるということも推測されます。
ただ、都市ガスの切り替えは機器の設定などが必要ありませんし、非常に簡単に変更することができます。
当社も都市ガスを取り扱っている側であるため、このようなお客様がぜひ料金にも目を向けていただくことを願うばかりです。