このページでは、「都市ガスが利用できるかどうか」の確認方法やガス業界の仕組み等について解説しています。
ガスサービスに馴染みがなく、どんな選択ができるのか確認方法がわからないという方はご参照ください。

都市ガスは導管から供給される

都市ガスは、ガス事業者の基地から供給場所までガス管(導管、パイプライン)を通して供給されるサービスです。

ほとんどの場合、ガス管は地上にむき出しではなく、地中に埋設されています。

つまり都市ガスを利用するためには、「使用場所までガス管が敷設されている」ということが必須条件となります。

2022年の時点で都市ガスが供給可能なのは、日本全体の面積の6%程度とされています。
都市ガスは、どこででも使えるサービスではありません。

対照的にLPガス(プロパンガス)は、ボンベから供給されるサービスです。
基本的には、ボンベを設置することができて、定期的に交換することができれば供給が可能。LPガスは、日本国土のおよそ95%で供給が可能と言われています。

賃貸物件・分譲マンションの方

一戸建てか集合住宅(アパート、マンション、ビルなど)問わず賃貸物件の場合、都市ガスが使えるかどうかは建物によってすでに決められています。

近年では、オール電化の建物が増えているほか、都市ガス供給エリアであったとしてもLPガスが導入されている物件も少なくありません。「東京都〇〇区の建物だから、絶対に都市ガスが使える」ということはありませんのでご注意ください。

原則として賃貸の物件では、所有者の意思によってエネルギーがすでに決められています。「このマンションはLPガスの建物だけど、うちの部屋は都市ガスにしよう」などということは不可能です。

ただし例外として、例えば飲食店で「都市ガスでは容量が足りないのでLPガスを使用したい」などというケースで、所有者が許諾し且つ物理的に供給が可能な場合には別のエネルギーを選択することもできます。

賃貸物件にお住まい又は引っ越し予定の方でエネルギーの種類が不明という方は、物件の管理会社やオーナーに確認しましょう。

また持ち家であったとしても集合住宅である場合には、同じく建物で使用されるエネルギーがすでに決められています。管理会社や管理組合などに確認するのが良いでしょう。

一戸建て持ち家・集合住宅持ち物件の方

一戸建ての方や集合物件の所有者である場合、都市ガスにするかどうかは自身の意思で決めることができます。

すでに都市ガスが引き込み済みの物件であればそのまま使用することができますし、導入されていなかったとしても、新たにガス管を引き込むことが可能です。

ただし上述した通り、そのためには都市ガスのパイプラインが引き込み可能な場所まで敷設されていることが条件となります。
自身の意思のみで引き込みができない場合、例えばガス管を引き込むためには他人の敷地を通さなければならないなどというケースでは、自身の希望だけで都市ガスを引くことはできません。

都市ガスのパイプラインがどこまで敷設されているのか知りたいという方は、お住まいの地域の一般ガス導管事業者に確認しましょう。

一般ガス導管事業者の確認方法

一般ガス導管事業者とは、地下に張り巡らされている都市ガスの導管網を所有している企業や団体を指します。簡単に言うと、地下のガス管の所有者ということです。

導管工事を行うには届け出が義務付けられていますので、地域によって導管事業者は決まっています。例えば東京23区であれば、どの場所であったとしても導管事業者は東京ガスになります。

お住まいの地域の導管事業者を知りたいという方は、一般社団法人日本ガス協会などが導管事業者の一覧を公開していますのでご参照ください。

自治体によっては、一つの市町の中でも複数の事業者が各地区で導管を敷設しているケースもありますのでご注意ください。その場合、導管事業者が選べるということではなく、地区によって導管事業者が分かれているということになります。

また地方の自治体では、「導管事業者がいない」つまり都市ガスが一件も供給されていないことも多々あるでしょう。この場合には、当然ながら都市ガスを使用することは不可能ということになってしまいます。

尚、もしも現在プロパンガスを利用中のお宅で、都市ガスが供給エリア外でプロパンガスの切り替えをご検討される方がいらっしゃいましたら、姉妹サイトで受付を行っていますのでご覧ください。
※プロパンガスの場合には、アパートやマンションなど一般的な集合住宅は、一部屋だけガス会社を変えることができません。主に一戸建てにお住まいの方や集合物件のオーナー様に向けたウェブサイトになります。

都市ガスを引き込むには費用がかかる

仮に物件の前の道路まで都市ガス導管が整備されている状態であったとして、そこから都市ガスを引き込む場合、ガス管工事の費用が発生します。
具体的な金額は、引き込む距離などによって変わりますので、導管事業者の見積もり次第です。

都市ガスは「公共サービス」であるため、原則として「全ての顧客に対して平等」でなければなりません。

例えば、都市ガスを引き込む際の費用を「今回は特別に値引きします」などという特別扱いは禁止されているのです。
つまりどんな物件であったとしても、規定に従って公平に導入費用が課されることになります。

これから長く住み続ける予定の方にとっては問題ない選択であったとしても、「費用を払ってまで都市ガスを引き込む必要はない」と考えているお宅も一定数あるでしょう。
東京都心部など、ほとんどの物件で都市ガスが導入されているエリアであっても、稀にプロパンガスを使用しているお宅があるのは、このような理由があるからなのです。

都市ガスが広く普及している地域であっても、特に集合住宅ではLPガスが供給されている物件が点在しているのも費用の問題が関連しています。
物件のオーナーとしては、まず都市ガスを引き込むためのガス管工事費用がかかってしまいます。さらにLPガスから都市ガスに切り替えるためには、ケースによっては各部屋のガス機器の交換や建物内のガス管工事が必要になってしまうのです。

集合住宅では、特に費用がかさんでしまうことが多いため、LPガスのまま切り替えられていない物件が多いということが考えられます。

また都市ガスが公共サービスである一方、LPガスは公共サービスではありません。
つまり都市ガスが物件オーナーに対して特別サービスをするのが禁止されているのに対し、LPガスではそれが制限されていないのです。物件にもよりますが、LPガスを使用することによりオーナーとしての特典を受けることができる(可能性がある)ということもLPガスが選択される要因の一つとして考えられます。

同じくLPガスと比べた場合、都市ガスはカロリーが低い(火力が弱い)、災害時に脆弱性がある、などのデメリットも併せ持っています。
都市ガスが供給できるエリアであっても、飲食店などの店舗や施設、または災害対策に対して独自の意思を持っているお宅などでは、あえて都市ガスを使用していないということも考えられます。