都市ガスが使えるかどうかの確認方法

このページでは、「都市ガスが利用できるかどうか」の確認方法やガス業界の仕組み等について解説しています。

主にガスサービスについて馴染みの薄い方に向けた内容となっています。

引越し先などで、ガスについてどんな選択ができるのか確認方法がわからない方はご参照ください。

都市ガスは導管から供給される

都市ガスは、ガス事業者の基地から供給場所までガス管(導管、パイプライン)を通して供給されるサービスです。

ほとんどの場合、ガス管は地上にむき出しではなく、地中に埋設されています。

つまり都市ガスを利用するためには、「使用場所までガス管が敷設されている」ことが必須条件となります。

都市ガスが利用できる地域は限られている
都市ガスが供給されているのは、日本全体の面積の6%程度とされています。都市ガスは、どこででも使えるサービスではありません。

対照的にLPガス(プロパンガス)は、ボンベから供給されます。基本的には、ボンベを設置して定期的に交換できれば供給が可能。日本国土のおよそ95%で供給できると言われています。

賃貸物件・集合住宅ではエネルギーが決まっている

一戸建てか集合住宅(アパート、マンション、ビルなど)問わず賃貸物件の場合、都市ガスが使えるかどうかは建物によってすでに決められています。

持ち家でなければエネルギーは選べない
原則として賃貸の物件では、所有者の意思によってエネルギーがすでに決められています。「このマンションはLPガスの建物だけど、私の部屋は都市ガスにしよう」などということは不可能です。

ただし例外として、例えば飲食店で「都市ガスでは容量が足りないのでLPガスを使用したい」など、所有者が許諾し且つ物理的に供給が可能な場合には、別のエネルギーを選択することもできます。

都会でも絶対に都市ガスが供給されているとは限らない
近年では、オール電化の建物が増えているほか、都市ガス供給エリア内であってもLPガスが導入されている物件が少なくありません。
「東京都〇〇区の建物だから、絶対に都市ガスが使える」のではありません。

賃貸物件にお住まい又は引越し予定の方でエネルギーの種類がわからない方は、管理会社やオーナーに確認しましょう。

また持ち家であったとしても集合住宅では、同じく建物で使用されるエネルギーがすでに決められています。管理会社や管理組合などに確認するのが良いでしょう。

一戸建て持ち家・集合住宅オーナーはエネルギーを選べる

「持ち家の戸建住宅」や「集合物件の所有者」である場合、都市ガスにするかどうかは自身の意思で決めることができます。

当然ながらすでに都市ガスが引き込み済みの物件であればそのまま使用することができます。導入されていなかったとしても、新たに導管を引き込むことで都市ガスを使用することができます。

ただし都市ガスを新たに引き込むためには、導管が引き込み可能な場所まで敷設されていることが条件です。

例えば「引き込むために他人の敷地を通さなければならない」など、自身の意思のみで引き込みができないこともあります。

都市ガスのパイプラインがどこまで敷設されているのか知りたい方は、お住まいの地域の一般ガス導管事業者に確認しましょう。⇒当社が情報を公開しているエリア一覧

一般ガス導管事業者の確認方法

一般ガス導管事業者とは、地下に敷設されている都市ガスの導管網を所有・管理している企業や団体を指します。簡単に言うと、地下のガス管の所有者です。
都市ガスを新たに引き込みたい方は、一般ガス導管事業者に問い合わせましょう。

導管工事を行う際には届け出が義務付けられていますので、地域によって導管事業者は決まっています。例えば東京23区であれば、どの場所であったとしても導管事業者は東京ガスネットワークです。

お住まいの地域の導管事業者を知りたい方は、一般社団法人日本ガス協会が一覧を公開しています。

複数の導管事業者がある自治体も
自治体によっては、複数の事業者が各地区で導管を敷設しているケースもあります。
その場合、消費者が導管事業者を選べるのではなく、地区によって導管事業者が分かれています。
例:埼玉県久喜市の都市ガス会社一覧

また地方では「導管事業者がいない」つまり都市ガス導管が整備されていない自治体も多くあります。この場合には、当然ながら都市ガスを使用することはできません。

プロパンガスの切り替えを検討する方

都市ガスが供給エリア外などでプロパンガスの切り替えを検討する方は、姉妹サイトで受付を行っています。

LPガス料金も決して高くない
プロパンガス料金も近年では、低価格化が進んでいます。戸建住宅であれば、地域によっては都市ガスと同じ水準の料金で利用することも不可能ではありません。
参照:都市ガスとプロパンガス料金を比較

※プロパンガスは、アパートやマンションなど一般的な集合住宅では、一部屋だけガス会社を変えることができません。主に戸建住宅にお住まいの方や集合物件のオーナー様に向けたウェブサイトです。⇒プロパンガス料金比較サイト 対応エリア一覧

都市ガスを引き込むには費用がかかる

建物の前まで導管が整備されていたとして、新たに都市ガスを引き込むには、工事費用が発生します。

引込工事費用は個別で見積もり
具体的な金額は、引き込む距離などによって変わりますので、導管事業者の見積もり次第です。
参照:東邦ガス・ガス工事に関するご案内
工事費用の割引はできない
都市ガスは公共サービスであるため、原則として「全ての顧客に対して平等」でなければなりません。
例えば都市ガスを引き込む際の費用を「今回は特別に値引きします」などの特別扱いは禁止されているのです。

つまりどんな物件であったとしても、規定に従って公平に工事費用が課されます。

あえて都市ガスを引き込まない建物もある

例えば新築物件など「これから長く住み続ける予定の方」にとっては、工事費用を払って都市ガスを引き込むのは問題ないでしょう。

都市ガスが使えるけど引き込まないお宅もある
ただ「費用を払ってまで都市ガスを引き込む必要はない」と考えているお宅も一定数あります。
お年寄りのみの家庭や、いつ転居するかわからない方、プロパンガスを安く利用できているお宅などが該当します。

東京都心部など、多くの物件で都市ガスが導入されているエリアで、稀にプロパンガスを使用しているお宅があるのは、このような理由があるからなのです。

集合住宅では都市ガス引き込み費用が高い

特に集合住宅では、あえて都市ガスを引き込まない物件が多くあります。これにも費用の問題が関連しています。

物件オーナーの費用負担が大きい
物件のオーナーは、都市ガスを引き込むためのガス管工事費用を支払わなければなりません。さらにLPガスから都市ガスに変えるためには多くの場合、各部屋のガス機器の交換や建物内のガス管工事が必要です。
集合住宅では、特に費用がかさんでしまうため、LPガスのまま切り替えていない物件が多いのです。

収益目的で中古の集合住宅を購入するオーナーであれば、都市ガスが引き込める状態であったとしても、新規工事をためらうことは多いでしょう。

LPガス物件オーナーは特典を受けられる

都市ガスが公共サービスである一方、LPガスはそうではありません。

都市ガス会社が物件オーナーに対して特別サービスをするのが禁止されているのに対し、LPガスではそれが制限されていないのです。

物件オーナーへの設備投資
物件にもよりますが、LPガスを使用することにより設備に関する投資など、オーナーとしての特典を受けることができる(可能性がある)ことも、LPガスが選択される要因の一つとして考えられます。

ただし設備投資に関しては、近年に入って問題化されているため、廃止されることになるかもしれません。

LPガスと比べた場合、都市ガスはカロリーが低い(火力が弱い)、災害時に脆弱性がある、などのデメリットを併せ持っています。

都市ガスが供給できるエリアであっても、飲食店などの店舗や施設、または災害対策に対して独自の意思を持っているお宅などでは、あえてLPガスを使用していることもあります。