このページでは、都市ガスについて解説しています。

導管から供給される都市ガスは、どこででも使えるサービスではありません。引き込むには費用が必要になるなどの制約があるので注意が必要です。

都市ガスについて理解を深めたい方は、ご参照ください。

「都市ガス」は正式名称ではない

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都市ガス タンク

都市ガスは、名前の通り主に都市部で供給されるガスサービスです。

「都市ガス」という名称が一般的に広く知られていますが、これは同じガスサービスであるプロパンガス(LPガス、液化石油ガス)と区別するために用いられたものであり、都市ガスというのはあくまでも通称です。

「都市ガス」は正式名称ではない
都市ガスは、正式には単に「ガス」または「一般ガス」と呼ばれます。
プロパンガスを販売している企業が「LPガス販売事業者」であるのに対して、都市ガスを販売している企業は「一般ガス事業者」となり、供給する会社に違いがあります。

「ガス」や「一般ガス」ではLPガスと混同してしまう恐れがあるため、都市部で使われる「都市ガス」の通称名が広く使われるようになりました。

都市ガス小売事業の独占供給と自由化

都市ガス事業者数は日本全国でおよそ200社になります。対してプロパンガス事業者は1万社以上と対照的な数字となっています。

かつて都市ガスは独占供給だった
これは都市ガスが導管を敷設して供給するサービスであること、そして一つの区域に対して1社しか供給することができなかったことが要因です。
認可を得た一般ガス事業者は、その地域での独占供給が認められていました。「他社のガス会社に乗り換えられてしまう」可能性は無い状態が続いていたのです。

そして2017年4月に都市ガス小売事業が自由化されました。これにより顧客は、都市ガス会社を選ぶことができるようになったのです。

事業者の種別

一言で都市ガス(一般ガス)事業者といっても、様々な企業があり、大きく4つに分類されています。

  1. 最大手企業
    自社で、輸入された天然ガスを受け入れる施設(LNG 一次受入基地)を複数保有し、インフラ整備からエンドユーザーへの小売り、また他の一般ガス事業者への卸し売りも行っている都市ガス業界における最大手企業です。具体的には、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの3社が分類され、特に東京都を地盤とする東京ガスのユーザー数は突出しています。
    都市ガスが自由化されても、既に配備されている導管が奪い取られるのではありません。「保有する配管を他社に使わせてあげる」ことになるため、勢力図が塗りかえられるのは容易ではないと考えられます。
  2. 準大手企業
    自社でLNG 一次受入基地を保有し、同じく小売り、卸し売りを行っている大企業です。具体的には北海道ガス、静岡ガス、広島ガスなどの会社が挙げられます。
  3. 卸しを受ける業者
    1、2の企業と導管が接続しており、その導管を通じてガスの卸供給されている企業です。自社で導管を配備していますが、ガスの輸入は行っていません。
  4. 配達のみを行う業者
    卸し売りを行っている、1、2の企業と離れた地域で小売りを行っており、導管を通じた卸供給を受けていない企業です。導管が通じていないため、タンクローリーなどで運搬して、ガスを調達している企業です。

都市ガス料金は自由料金制へ移行

電力や水道と並び、生活に欠かせないサービスとして、都市ガスも公共サービスの一つとして数えられています。

都市ガスはプロパンガスよりも多く使用されている
ガスを利用しているお宅の内、半数以上が都市ガスを利用しているという統計データが公表されています。
都市ガスの普及エリアは、国土の10%に及んでいません。しかし都市部に人口が集中しているため、利用人口としては50%以上という数値がでています。

都市ガスはプロパンガスと比べて、単価が安く透明化されている上、ボンベ配送の手間もありません。今後も普及エリアが広がり、利用者数も更に増えることが予想されます。

上述した通り、都市ガスは独占供給が認められていたが故に、ガス事業者が料金を不当に高くしないよう、供給する料金についても認可を得る必要がありました。

しかし現在では、自由化によるガス会社同士の競争が行われていると認められた地域に関しては、認可制は撤廃され各社が自由に料金を決められるようになっています。

都市ガスの種類

1960~1970年代頃は、都市ガスの中でも種類がいくつか存在し、機器を購入する際に対応したものでなければいけない注意事項がありました。

当時、都市ガスの原料としては石炭を原料とした石炭系ガスや、重油などを原料とした石油系ガスが広く使用されていました。

発熱効率の良い天然ガスへ移行
その後、安全性の向上や環境への配慮などから、天然ガスを原料とした都市ガスが使用される動きが活発となりました。
天然ガスを利用したガスは熱量も従来より高いため、経済産業省の主導によりガス規格の統一化が推進されることになりました。(IGF21計画)

天然ガスを原料としたガスは「13A」と呼ばれる規格で、現在ではほとんどの都市ガスが13Aの規格として統一されています。

この結果、ガス機器も統一されることになり、現在では他の規格のものはほぼ市販されていません。

都市ガスを使うには

ボンベから配達されるプロパンガスとは対照的に、都市ガスは地下に整備された導管を通じて供給されます。

都市ガスは導管から供給
都市ガスを利用するには、まず使用する場所の近くに導管が配備されていることが条件となります。
導管を配備するには大規模な工事が必要となりますので、配備されていない地域のお宅が、都市ガスを使用するのは不可能です。都市ガスエリアが広がるのを願うしかありません。

一方で「ご近所では都市ガスを使用している」など、近くまで導管が来ているお宅に関しては、導入できる可能性があります。

目の前の道路まで導管が届いているお宅
近くまで導管が届いているお宅には、既に事業者から案内されている可能性も高いですが、その地域の都市ガス事業者に問い合わせてみることをお勧めします。
導入するための工事費が必要ですが、金額はケースバイケースで異なります。

都市ガスが使用できるかどうかの判断については、別ページで詳しく解説しています。⇒都市ガスが使えるかどうか