そもそも都市ガスって?

gas_tank
都市ガス タンク

このページでは「都市ガスとはどのようなものなのか」について記載しています。

都市ガスとはその名の通り、主に都市部で供給されているガスサービスになります。「都市ガス」という名称が一般的に広く知られていますが、これは同じガスサービスであるプロパンガス(LPガス、液化石油ガス)と区別するために用いられたものであり、都市ガスというのはあくまでも通称となります。

正式には単に「ガス」または「一般ガス」というサービスなのですが、プロパンガスを販売している企業が「LPガス販売事業者」であるのに対して、都市ガスを販売している企業は「一般ガス事業者」となり、供給する会社に違いがあります。企業がガス事業を営む場合には、認可を受ける必要がありますが、それぞれ必要になる認可が異なっており、わかりやすいように呼称も分けられているという状態です。

都市ガス事業者の数

2013年3月時点で、都市ガス事業者数は日本全国でおよそ200社になります。対してプロパンガス事業者数は約21,000社と対照的な数字となっています。
これは都市ガス事業が一つの区域に対して1社しか供給することができなかったことが原因となります。認可を得た一般ガス事業者は、その地域での独占供給が認められ、「他社のガス会社に乗り換えられてしまう」という可能性は無い状態が続いていました。

そして、2017年4月を持って都市ガス事業が自由化されました。自由化されたことにより、顧客はガス事業者を選ぶことが可能となり、一般ガス事業に新たに参入する事業者が大幅に増えることが予想されます。

事業者の種別

一言で都市ガス(一般ガス)事業者といっても、様々な企業があり、大きく4つに分類されています。
① 最大手企業
自社で、輸入された天然ガスを受け入れる施設(LNG 一次受入基地)を複数保有し、インフラ整備からエンドユーザーへの小売り、また他の一般ガス事業者への卸し売りも行っている都市ガス業界における最大手企業です。具体的には、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの3社が分類され、特に東京都を地盤とする東京ガスのユーザー数は突出しています。
都市ガスが自由化されても、既に配備されている導管が奪い取られるということではなく、顧客に供給する配管を他社にレンタルするという図式になるため、この図式は勢力図が塗りかえられるのは容易ではないと考えられます。
② 準大手企業
最大手企業には及ばないものの、自社でLNG 一次受入基地を保有し、同じく小売り、卸し売りを行っている大企業です。具体的には北海道ガス、日本ガス、静岡ガス、広島ガスなどの会社が挙げられます。
③ 卸しを受ける業者
1、2の企業と導管が接続しており、その導管を通じてガスの卸供給されている企業です。自社で導管の配備を行っていますが、ガスの輸入は行っていません。
④ 配達のみを行う業者
卸し売りを行っている、1、2の企業と離れた地域で小売りを行っており、導管を通じた卸供給を受けていない企業です。導管が通じていないため、タンクローリーなどで運搬して、ガスを調達している企業です。

都市ガスは公共料金

電力や水道と並び、生活するのに欠かせないサービスとして、ガスもライフラインの一つとして数えられています。オール電化のお宅などのケースを除き、日本中に普及しています。ガスを利用しているお宅の内、半数以上が都市ガスを利用しているという統計データが公表されています。
都市ガスの普及エリア自体は国土の半数に及んでいませんが、都市部に人口が集中しているため、利用人口としては50%以上という数値がでています。都市ガスはプロパンガスと比較して、ガス単価が安い傾向にありますので、今後も普及エリアが広がり、利用者数も更に増えることが予想されます。

上述した通り、都市ガスは独占供給が認められていたが故に、ガス事業者が料金を不当に高くしないよう、顧客に供給する料金についても認可を得る必要がありました。
しかし、現在では自由化によるガス会社同士の競争が行われていると認められた地域に関しては、認可制は撤廃され各社が自由に料金を決めることができるようになっています。

都市ガスの種類

gas_meter

1960~1970年代頃は、都市ガスの中でも種類がいくつか存在し、コンロなどの使用する機器を購入する場合にも、対応したものでなければいけないという注意事項がありました。
当時、都市ガスの原料としては石炭を原料とした石炭系ガスや、重油などを原料とした石油系ガスが広く使用されてきました。
その後、安全性の向上や環境への配慮などから、天然ガスを原料とした都市ガスが使用される動きが活発となりました。天然ガスを利用したガスは熱量も従来のものより高いため、経済産業省の主導により、ガス規格の統一化が推進されることになりました。(IGF21計画)

天然ガスを原料としたガスは「13A」と呼ばれる規格であり、そのような取り組みの結果、現在ではほぼ100%が13Aの規格として統一されることになりました。
この結果、ガス機器も統一されることになり、現在では他の規格のものはほぼ市販されていません。

都市ガスを利用するには

ボンベで配達されるプロパンガスとは対照的に、都市ガスは地下に整備された導管を通じて供給が行われます。都市ガスを利用するには、まず使用する場所の近くに導管が配備されていることが条件となります。導管を配備するには大規模な工事が必要となりますので、配備されていない地域のお宅が、都市ガスを使用するのは実質的に不可能と考えられます。
都市ガスの事業者がエリアを広げるのを待つというのが現実的でしょう。

一方で「ご近所では都市ガスを使用している」など、近くまで導管が来ているお宅に関しては、導入できる可能性があります。そのようなお宅には、既に事業者の方から何らかのアクションが行われている可能性も高いですが、その地域の都市ガス事業者に問い合わせてみることをお勧めします。
導入する際の工事費用が大きくなる可能性がありますが、その辺りはケースバイケースになります。

都市ガスが使用できるかどうかの判断については、別ページで詳しく解説しています。